少子高齢化が進む地方において、若手人材の獲得は企業の持続的成長を左右する大きな課題です。石巻市に本社を構える新東総業がアスリート採用という新たな一手に踏み切ったのも、まさにこの課題意識からでした。現在、同社では陸上競技、サッカー、パワーリフティング、セーリング、フットサルと、多様な競技のバックグラウンドを持つ7名のアスリート社員が、フルタイムで働きながら競技活動に情熱を注いでいます。彼らは特別な存在としてではなく、プロフェッショナルとして通常業務に真摯に取り組み、企業への貢献を体現しています。
「まだスポットライトを浴びていないアスリートにも、競技を諦めることなく続けられる環境を提供したい。同時に、彼らが社会人としてのキャリアをしっかりと築き、引退後も安定した生活基盤を確立できる機会を創出したいのです」。そう語るのは、新東総業・常務執行役員の須藤様です。その言葉からは、アスリートのセカンドキャリア問題にも真摯に向き合い、長期的な視点で人材を育成しようとする企業の強い意志が伺えます。これは単なる社会貢献に留まらず、企業の未来を担う人材への投資でもあるのです。
アスリートに提供したいのは、金銭や時間といった直接的な支援だけでなく、アスリートが競技活動に気持ちよく取り組める「環境」であると須藤様は語ります。
例えば、平日の仕事終わりにアスリートが練習に向かう際、周囲の社員が「練習だよね。頑張ってね」「ケガしないように気を付けてね」と声をかけるような温かい雰囲気。週末に試合がある際には、朝礼や終礼でアスリートが「明日試合に行ってきます」と報告し、仲間から「頑張って来てね」「勝って来てね」と送り出してもらえる環境を理想としています。
そして試合後の朝礼では、アスリートが試合結果を報告し、勝敗に関わらず、社員全員で「おめでとう」や「次は頑張ってね」といった声援を送ることで、アスリートが一人で戦っているのではなく、新東グループ全体が応援団であるという一体感を共有したいと考えています。このような環境の醸成を通じて、アスリートが企業の一員として安心して競技に打ち込めるよう、新東グループ全体で戦っているという意識を共有していくことを目指しています。今回のイベントを機に、スポーツ用品の小売業からシントウエナジー(新東総業のグループ企業)へとキャリアチェンジを果たした岡本様。陸上競技の指導者として長年活動してきましたが、今回の転職を機に、自身も再び競技者としてトラックに戻る決意をしました。
「陸上競技に、何らかの形で恩返しがしたい」。その熱い想いを胸に、岡本様は指導を継続しながら、自らも競技者として高みを目指すことで、「大人になっても、好きな競技を諦めずに続けられる」という力強いメッセージを、未来を担う子どもたちに伝えたいと考えています。その第一歩として、今年はマスターズ陸上競技大会宮城県大会での宮城県記録樹立と優勝という明確な目標を掲げています。
岡本様の日常は、まさにデュアルキャリアの実践そのものです。平日は8時30分から17時30分までフルタイムで勤務し、帰宅後にランニングで汗を流すなど、限られた時間の中で創意工夫を凝らし練習時間を捻出しています。カレンダー通りの休日も、指導や自身のトレーニング、審判活動など、陸上競技のために最大限に活用しています。
岡本様がみやぎアスリートキャリアサポートの就職イベントに参加したきっかけは、「スポーツでの実績や経験が、単なる過去の栄光ではなく、正当に評価される」という、従来の転職活動では得難い魅力に惹かれたからでした。そして、そこで新東総業と出会い、自身の想いと企業の理念が重なり、新たなキャリアをスタートさせることを岡本様は決断したのです。
「実際にイベントに参加してみて、想像以上に多くのアスリート採用に前向きな企業、そして柔軟な働き方を理解してくれる企業が存在することに驚きました。もっと早くこうした機会に出会えていれば…」と、岡本様は素直な気持ちを語ってくださいました。この言葉は、今まさにキャリアに悩む多くのアスリートにとって、大きな希望となるはずです。
岡本様は自身の経験から得た貴重なアドバイスをデュアルキャリアという新たな航海に乗り出そうとしているアスリートたちへ送ります。
「かつての私は、『スポーツを続けるなら、仕事もスポーツ関連業界でなければならない』という固定観念に縛られていました。しかし、現実は全く異なりました」。むしろ、スポーツとは直接関わりのない異業種の職場の方が、勤務スケジュールが明確で、結果的に競技活動との両立がしやすいケースもあると指摘します。これは、キャリア選択の幅を大きく広げる視点ではないでしょうか。
そして、岡本様が最も強調するのは、「『競技を続けたい』という熱意だけでは、理想のデュアルキャリアは実現できない」という厳しくも現実的な事実です。「企業との対話を重ね、勤務時間や休日、サポート体制などを事前に徹底的に確認すること。そして、それが自身の競技計画と本当に両立可能なのかを、冷静かつ客観的に見極めること。これが成功への絶対条件です」。
新東総業の須藤様・阿部様、そして岡本様の熱意あふれる言葉からは、アスリート採用が企業に革新的なエネルギーを注入し、アスリート自身にとっては競技と社会人としてのキャリア、その両輪を力強く駆動させる絶好の機会となることが鮮明に浮かび上がってきます。
私たち、みやぎアスリートキャリアサポートは、これからも企業とアスリート、双方にとって最高の出会いを創出し、アスリート一人ひとりが持つ無限の「価値」が、宮城県で輝きを放つための支援を続けてまいります。
須藤様、阿部様、岡本様、この度は貴重なお話を賜り、ありがとうございました!
新東総業株式会社 |
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代表取締役社長 新田 秀悦 |
事業内容:建設事業、エナジー事業、賃貸事業、ビジネスソリューション事業 |
〒986-0854 宮城県石巻市大街道北三丁目7‐27 |
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